【調整】ディレイラーの調整方法を解説!【これをやったら大惨事】

ディレイラー調整 自転車部メンテナンス課
しんパパ
しんパパ

どうも!しんパパです。

ロードバイク歴7年のホリデーライダーが、安全にライドするためのディレイラーのメンテナンスについて教えます。

ディレイラーを調整して気持ちの良い変速を

 ロードバイク・MTBで重要なのが変速。ギアを変えることで、刻一刻と変わる路面状況・斜度や体調に合わせて変化することで、より長く、より快適に、より速く自転車を進めることが出来ます。

 とても重要な機能なので、調整も欠かせません。一方で、その調整には機構の理解が不可欠。ブレーキと比べやや複雑なのできちんと構造を理解し、必要な調整とその方法を知らないで闇雲にネジ類を動かすと思いもよらぬ事態になってしまいます。

 この記事ではディレイラーの基本構造・原理と必要な調整について解説します。

まずはディレイラーの機能・機構を理解しよう

フロントディレイラー (Shimano HP参照)
リアディレイラー (Shimano HP参照)

 ディレイラーにはフロントの変速を行うフロントディレイラーとリアの変速を行うリアディレイラーがあります。それぞれ、形はことなりますが、基本的な機能は一緒です。フロント・リアともに形は違えど同じ機構・原理で動いていますので、一緒に説明します。

 ディレイラーの役割は、ギアを変え、変速させること。この変速は、ガイドで「チェーンを動かす」ことで行っています。チェーンを動かすことでひっかかるギアが変わります。シンプルな機能ですが、これを正確に機能させるためには3つの設定が必要です。

ディレイラーに必要な3つの設定

  • 可動幅
  • 可動域の上限・下限
  • ガイドの位置

可動幅って何?何で決まる?

 可動幅とは、ギアを一つ動かすのに必要な動きの幅。図の青い線の間分、自転車の進行方向に対してチェーンを垂直方向にズラすことでギアを変えていて、この垂直方向にどのくらいズラすのかが、可動幅です。

 この可動幅はシフトワイヤーをどのくらい動かすかで決まります。通常シフトレバーがどの位ワイヤーを巻き取るかで決定するので調整は不要(できない)です。

可動域の上限・下限

赤:制限を掛ける前のガイドの可動域、青:上下の制限を設定した後のガイドの可動域

 続いて、可動域の上下限について。ディレイラーは一番小さなギアから一番大きなギアまで、ガイドを動かして変速を行います。このガイドが動ける幅は、ギアを変速させるのに必要な幅よりも大きく、必要以上に動かすとチェーンがギアから外れます。また、時には外れるだけでなく、リアディレイラーの場合はホイールに干渉して、フロントは必要以上にチェーンとギアに負荷がかかり破損の原因にもなるので注意が必要です。

 基本的に可動域の設定はディレイラー側で行いますが、日常的な使用でズレる事はありません、自転車を組み上げた時にセッティングすればOK原則調整不要です。ここを勘違いしてセッティングを変えてしまい、リアディレイラーをホイールのスポークに巻き込んでホイール・リアディレイラー・ディレイラーハンガーを破損し高い修理代がかかった人がいます。そう、私です (涙)。とても大切なので、もう一度言います。変速の調子が悪いからと機構を理解せずにむやみに触るのはやめましょう。基本的に、日常使用の中で調整する必要のないところです。

ガイドの位置

 3つめの設定は、ガイド位置の調整。このギアに対するガイドの位置で変速がキマる・キマらないが変わります。ガイドの位置は、シフトワイヤーの引っ張り具合で決まります。調整機構を使って引きを調整します。

ディレイラーの調整方法とタイミングについて

 ディレイラーに必要なメンテナンスはたった2つです。「可動域の上下限設定」と「ガイド位置の調整」。このうち、日常的に調整が必要になるのは「ガイド位置の調整」で、「可動域の上下限設定」は基本的にズレません。組んだ時に設定された位置が不適切な場合を除いて、基本的には触る必要はないどころか、理解せずに設定を変えると致命的なダメージに繋がるので「可動域の上下限設定」は不必要に変えないようにしましょう。

ガイド位置の調整

 ガイド位置の調整は2つ。チェーンラインに対して上下 (重力方向)と、左右の調整。上下の調節は、ガイドがギアに当たらないように調節します。左右の調整は、チェーンとギアが擦らない、かつ正確に変速してくれる位置に調節します。

上下方向の調節

 上下方向の調節は日常的な調整が必要になる場面は殆どないと思いますが、一応記述します。
フロントディレイラーとリアディレイラーで異なります。

赤丸のネジを緩め、本体を上下に動かし、⇔のクリアランスを調整する。日常的な調整は不要

 フロントの場合本体の固定位置=ガイドの位置になるので、本体取り付け位置を調節して、チェーンリングに当たらないけどきちんと変速する位置に調節します。チェーンリングのサイズを変えたら調整が必要になります。概ねですが、大きい方のチェーンリングとガイドプレートの下面のクリアランスが0.5~2mm程度かと思います。正確な適正位置はメーカーに寄るのでホームページなどで確認しましょう。

写真のギア位置ではなく、最大ギアで調整し、ガイドプーリーがスプロケに当たらないかつ遠すぎて変速性が低下しない位置にする。

 リアディレイラーのガイドは、フロントとは形状が異なり、歯車の形をしていて、ガイドプーリーと呼ばれます。この上下を調節しないと、スプロケットの歯に当たりゴリゴリ音がします。スプロケのサイズを変えた場合は調整が必要になります。合わせ方は、一番大きいギア位置で、ガイドプーリー位置調整のボルトを締めたり緩めたりするだけ。写真のボルトを動かすと上下に動くのでスプロケの歯に当たらない位置に調節しましょう。概ね0.5~1.0mmとなっていることが多いですが、経験上、変速性に問題なければ2mmくらい空いていても問題ありません。正確な適正位置はメーカーに寄るのでホームページなどで確認しましょう。

左右方向の調整

 左右方向の調節は、ワイヤーをどのくらい引っ張るかで決まります。乗っていると基本的にはワイヤーが延びて緩む方向にいくので、ワイヤーを引っ張るように調整します。

右図はShimanoのHPより抜粋。シフトはトップ側のトリム位置にして、線が揃うように調整
フレームのアウターケーブル受けについているケース。内装式の場合、似たようなアジャストボルトがケーブル間に挿入されている場合も。

 フロントディレイラーの場合は、チェーンがガイドプレートに当たって音が鳴るようなら調節しましょう。ワイヤーの調整機構(アジャスター)は、アウターのどこかに設置されている事が多いので、このネジを緩めるとワイパーは引っ張られます。ShimanoのR9100以降のシリーズは、ディレイラー本体側に調節機構が付いています。写真のボルトを緩めると引っ張られる方向に動くので、適正位置に来るまで引っ張りましょう。

リアディレイラーのアジャストボルト

 リアディレイラーは、変速性が悪い場合(すぐに変速しない、変速してもチェーンとスプロケが当たって音がする)時に調整しましょう。リアディレイラーの本体にはワイヤーアジャスターが付いています。このネジを緩めるとワイヤーが引っ張られ (ローギア側にガイドが動く)、締めるとワイヤーは緩みます(トップギア側に動く)。適正位置は、ギアをトップに入れた状態で、シフターを操作し、2段目に入れるか入れないか位の所で、チェーンが上がるように動いている位置が適正。調整後はトップからローまで変速してみて、音が鳴る所がないかチェックしましょう。

基本的には触らない!組んだ時に設定する可動域の上下限設定

 基本的に、可動域を調整する必要は殆ど無いはず。よっぽど一番ロー側やトップ側に入れた時だけチェーンが擦る等の症状が出ない限りは調節しません。ここの調整がおかしくて、トップとローギア以外の所でチャラチャラ音がするなんて症状は出ないので基本触ってはダメです。

 その触ってはダメなボルトは、LとHの表記があるボルト。このボルトを触る際は、ギアを適切な位置に移動させてから触る必要があります。Hは、小さいギア側の最大移動位置を、Lは大きいギア側の最大移動位置を調節します。なので、Hを動かすときはトップに入れた状態、Lを動かすときはロー側にギアを入れた状態以外で動かすのはNGです。どうしても調節が必要と思ったらきちんと学んで理解してから調節しましょう。特にリアディレイラーのLのネジを緩める(反時計回し)すると、ディレイラーがホイール側に動けるようになり、スポークに干渉して最悪ホイール(スポーク)、ディレイラー、ディレイラーハンガーが死にます。要注意です。ちなみに、それぞれのネジを締めると可動域は狭くなり、緩めると可動域は広がります。

メンテ初心者の方が覚えるたった一つのこと

 ディレイラーの調整方法についてまとめました。基本的にはどのメーカーでも似たような機構で調整できると思います。

 メンテ初心者の方が、日常的に触るのはアジャスターのみです。基本的にはワイヤーが延びてチェーンが擦れる音や変速が悪くなったと感じた時に、ワイヤーを引っ張る方向で調節すればOKです。

 リアディレイラ―の場合は、ライド中でも擦れる音が気になったらアジャスターを反時計方向に少し、1/8~1/4回転くらい、1~2ノッチ程度回してみて治まるかどうかみてみましょう。

 フロントもアジャスターがワイヤーアウターの途中についている場合は同様に作業できます。

 最後に、DIYは基本自己責任でお願いします。当サイトは自転車のメンテナンスについて応援する記事を書いています、しんパパの失敗談や経験談を盛り込みつつ記事にしていますので、皆様の参考になればという気持ちで書いていますが、プロではないので責任は負いかねます。

 自己責任の精神が前提ですが、自分で自転車を整備し、安全に楽しくライドしたいという方を、これからも応援していきます。

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